働き方を変える!組織を変える!
ダイバーシティ&インクルージョン実践プログラム 講演レポート

2017.9.5

2017.9.5 佐々木 裕子
代表取締役社長

2017年6月、丸の内エリアで「クルソグ」プロジェクトがスタートしました。
クルソグとは、「Quality of office worker’s life so good!」を略した造語で、健康経営と働き方改革の両立を目指しています。単に労働時間を短くするだけでなく、働く人たちのwell-being(健康、幸福)を高めることが狙いです。

※クルソグ ホームページ http://www.qoolsog.com/

チェンジウェーブは、クルソグ内で仕事と暮らしの質向上に資する18プログラムを提供。
今回はキックオフとして実施した「ダイバーシティ&インクルージョン実践プログラム」の様子をご紹介します。

 

■クルソグキックオフ・スペシャルセミナー(2017年7月5日開催)

企業の人事、総務担当者を中心に幅広い層が集まったセミナーの第1部には、チェンジウェーブ代表、佐々木裕子が登壇。
ダイバーシティ推進の難しさをどう乗り越えるか」をテーマに講演しました。

弊社代表の佐々木裕子

変革の波は人の変化から

Change WAVEは「変化の波」、私たちは「変革屋」であると名乗っています。
波を起こすときに最初の起点になるのは「人の変化」です。今回多様性推進がテーマではありますが、皆さんがどんな形で殻を破り、新しいことに踏み出していくのか、もし邪魔をするものがあればどう突破するのか、一緒に設計させていただきます。

 

多様性推進の現実とは

昨今、多様性推進については8割くらいの人事、経営者が「基本的には必要だと思っている」というデータがあります。well-being、個人を育成、醸成していくという流れは間違いなくあると言えるでしょう。

ただ、物事はそんなに簡単には動きません。総論賛成、各論反対というのはよく聞く話です。管理職登用された女性自身が「実力ではない、ダイバー枠です」とおっしゃる、エッジのきいた人材を採用しても根付かない、上位職ほど同質化のプレッシャーが顕著になる……まだまだ本音はそんなところにあるのが現実です。

また、働き方改革にしてもダイバーシティ推進にしても、制度や仕組みで担保しようとする企業は多いのですが、1,2年でいとも簡単に骨抜きになってしまいます。なぜでしょうか?
原因の一つは無意識バイアス、そして成功モデルの罠です。

クルソグ#1 無意識バイアステスト
心理学にもとづく無意識バイアスのテストを参加者が体験

 

無意識バイアスの罠

人間にはそれぞれバイアスがあります。意思決定時など、無意識バイアスが有用なケースもありますが、ジェンダーや年齢など、わかりやすい属性で引っ張られてしまうこともあります。

例えば、仕事で失敗した部下が女性だと怒りにくい、と感じる上司がいると、必然的に難しい仕事は男性に担当させることが多くなります。それが累積していくと、男女間でスキルや経験値にどんどん差がついてしまい、10年後には「女性リーダーになれる人材なんていない」という状態になってしまうでしょう。

メインストリームのリーダー像が固定していて、「男性で、バリバリ働けて、会社に対してコミットしている」人以外はリーダーになりにくい、というのもそうですし、男性は育児参加することを会社に言いにくい、女性は男性に家事のすべてを任せられない、というのも双方にネガティブバイアスがあるという例です。

日々無意識のうちにされるほんのちょっとしたことが、相手のモチベーションを下げ、場合によっては他のキャリアを考える要因になってしまうことがあります。

 

成功体験の罠

加えて、多様な組織のマネジメントは大変難しいのが現実です。同質的、トップダウンで動く組織の方が楽だし、成果も出やすいでしょう。特に昭和の時代は同じことをいかに早く実行できるかによって業績が上がっていたので、その成功体験がある経営者にダイバーシティ推進を問うと、ひるむ方が多いのが実情です。自分が今まで築き上げてきた強いカルチャーを揺るがす可能性もあるわけですから。

また、経営者がやりたいと言っても、中間管理職は短期で評価されるので、結果が出るかどうかわからないまま、多様な人たちとチャレンジを続けることに相当な恐怖を覚えます。
特に男性の場合、失敗は悪であるという固定観念をとても強く持っているので、そうした状況下でのダイバーシティ推進は厳しいと言えます。

 

最後に残るのは仕掛ける側の本気

この2つの罠をどう乗り越えるかは、論より制度より「実体験」にかかっています。いかに新しい行動をしているか、ダイバーシティの良さを体験しているかで相当な違いがあります。
人が新しい行動に移るためには、自分の中のリミッターを外す必要があります。でも、リミッターはやりたいことのためにしか外れません。「こういう世界を実現したい」という強い想いの方向にしか人は動かないのだと思います。

想いに従って行動した結果、固定観念や呪縛を乗り越える経験ができます。周りの人がそれを見聞きすることで、「これならやってもいいんじゃないか」、「自分たちが守っていたのは単なる思い込みだったんじゃないか」と初めて思えるようになるのです。
制度や評価はそうした最初の一歩、行動を変えさせるための手段でしかありません。

実例を挙げると、チェンジウェーブが企画したエイカレ(※1)やミチカラ(※2)ではこうしたことが起きています。
たった5人の営業女子が始めたチャレンジが役員会議にかけられるくらいの影響力を発揮した例、行政と民間が共に課題解決に臨み、その熱量に心を動かされた市長が次年度の予算を約束する例なども生まれました。

※エイカレ、MICHIKARAについては、第2回、第3回のセッションで詳しくお伝えします。

MICHIKARAの参加者がこんなことをおっしゃいました。
「結局自分が情熱を持たないとダメだし、多様性を信じないとダメ。その先にしか世の中は変えられないんですね」と。
つまり最後は、「仕掛ける側が本気かどうか」ということだけなんだと私は思っています。

※1 エイカレ(新世代エイジョカレッジ) http://eijyo.com/
※2 ミチカラ(MICHIKARA地方創生) http://michikara.com/

 

多様性の力を信じ、多様性の中に生きる

皆さん、ご自身が何かを決断するときに意見を求める人を10人挙げてみてください。その10人の国籍、性別、年齢、業界、専門性などを見て、どのくらい多様な人たちが入っているでしょうか。
真面目に仕事にまい進されている方ほど狭いネットワークに偏りがちです。しかし、多様性推進を仕掛ける側におられる方は、ご自身が多様性の中に生きていないと打ち手を間違える可能性が高いということを申し上げておきたいたいと思います。

今回せっかくクルソグという多様な方々が集まる場なので、ここから始めませんか?ということを変革屋としてご提案したいです。
「こういう世界を作りたい」というところに立ち返るのがご自身のwell-beingのためにも非常に大事ですし、その強い想いが何なのか、そこに立ち返ったうえでバイアスや固定観念を乗り越える結果を作っていけると良いのではないかと思っています。

              

■大切なのはパッション! ユニリーバ 島田由香さんパネルディスカッション

続いて第2部では、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの取締役人事総務本部長、島田由香様をゲストに迎え、パネルディスカッションを行いました。

パネルディスカッション

「笑顔で自分らしく生きる人で世界を埋めつくしたい。それに関わることは何でもやる」と語る島田さん。ユニリーバ・ジャパンでは2016年、働く場所や時間を社員が自由に選べる人事制度を導入しました。
社内アンケートでは「導入前より毎日が良くなった(67%)」「生産性が上がった(75%)」との回答を得たそうです。

これに対し島田さんは「社長を含め、役員が一丸となってやったからできたことであり、業績も落ちていない」と分析。導入時には、仕事を怠ける人が出る可能性やコミュニケーションの悪化を懸念する声が社員から示されたそうですが、「やってみなきゃわからない」と思っていたとのこと。
「ここに行きたい!」というパッションが大切であり、何か問題が起こったとしても、それは失敗ではなく、ラーニング、フィードバックなのだと考えていたそうです。

また、働き方改革とは生き方を決めることであり、選択肢が広がった時に「自分にとって何が良いのか、どういう状態なら一番パフォーマンスが上がるのか」に気づくこと、どう生きたいかに通じるのだというお話も印象的でした。

 

ダイバーシティ&インクルージョン実践プログラムは全3回にわたって開催され、第2回、第3回は参加者による実証実験、ゲストによるトークセッションを行います。

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