問いを磨く 〜変革を生む確率を最大限に上げるには〜

2017.9.26

2017.9.26 佐々木 裕子
代表取締役社長

私たちChangeWAVEは、自分たちのことを指して「変革屋」と呼びます。
実際に「変革屋」というのはどのような仕事なのか、「変革屋」の果たす役割とは何なのか、代表の佐々木が語るコラムでご紹介します。

「TURE-TECH丹波」を終えて

ChangeWAVEが設計に携わらせていただいているソフトバンク社の地方創生インターン「TURE-TECH丹波」。
応募者約1500名から選抜された29名が参加し、8月いっぱいをかけて開催。TURE-TECH丹波は、廃校利用や高齢者コミュニティビジネスの活性化など、丹波市の抱える5つの課題に対し、学生たちが1週間で情報収集、議論し、課題解決の施策を市長に提案するという、官民協働リーダーシッププログラム MICHIKARAの学生版です。

私はこのインターン期間、一度も丹波市を訪れていないのですが、数ヶ月前に現地を訪れ、このインターン実施のため「どういうお題を出すのか」という事前設計と具体化を担当しました。「問い」の具体を決め、精緻化する役割です。

出された課題は、女性向け観光促進や移住促進など、地方都市の”リアル”な課題。取り組む学生たちのチャレンジはかなりハードルが高かったはずです。
そんな中、TURE-TECH丹波が無事終了し、学生や行政、社員の方々が全員で本当に本気で取り組んだ結果、「5日間で素晴らしい成果が出た」というたくさんの感想を伺いました。
結局、その場にいる人たちが本気になり始めると、いろいろな課題が解決していくのだと改めて思った事例でした。

一方、そのような中で変革屋の自分ができることがあるとしたら、今回のように、可能な限り事前に「問い」を精緻にすることで、短期間で変化を生む確率を極限まで高める、ということかもしれない。

そう強く感じたのです。

問いを立てる難しさ

  1. 今、市にとって何が問題なのか。それはなぜか。
  2. その問題がまだ解決できていないのはなぜか。
  3. いつまでにどうしたいのか。それはなぜか(=XXX年後にXXXをXXにしたい)。
  4. 上記を踏まえて、何を提案してほしいのか。
  5. 提案内容の制約条件や要勘案事項はなにか。

この問いが抽象的すぎたり、絞り込みが甘すぎたりすると、
「結局何をやりたいんでしたっけ?」
「そもそも、AとBとどっちの方向性?」
と、問いを理解することに時間がかかってしまい、手戻りが起きる。

問いの設定が、解決するのに膨大な手間をかけないと無理なレベルに設定されてしまうと、1週間では結果が出ない。

一方で問いのレベルが狭すぎると、
「いやそれは業者に発注すればよいのでは」
ということになり、学生さんたちのチャレンジにならないし、地域の方々との化学反応も起きない。

また、地域の方々のリアルとの接点や共創ができない問いだと、そもそもこの座組みでやる価値がない。

最後提案を受け止められる方々が、「自分でやりたい」と思って実行されなければ、そもそもやる意味もない。

だからこそ、真剣に、
お題の具体をどこに的を当て、どこまで絞るか、
どういう視点で問いを出すと、すべての条件が満たされるかを、
丹波市やソフトバンクの事務局の方々と、喧々諤々議論しながら
丸一日議論し、突き詰めていきます。

問いを立てる際に大事にしていること


問いを立てる際、私が大事にしているポイントは3つあります。

  • 本気でその問題に取り組む方々が、「何のために何の問題を解いているかについては、ほとんど迷わない」形まで、問いを昇華させること。つまり、変革の目的、ステークホルダーの想い、制約条件、その他すべての状況を勘案したうえで、全員の頭に同じ映像が浮かぶくらいに、言葉の定義を明確にすること。
  • 最終的に誰がその解決策を担い、「実行」するのか、を想定したうえで問いを選択すること。
  • 問いの答えを探すアプローチを想像したとき、その想定期間、巻き込まれる方々の強みや情報量、行動範囲、そして地域の方々との化学反応をシミュレーションしたうえで、解決策が見える可能性が高いと思える問いを選択すること。

結局、「変革屋」という客観性の高い人間の役割は、こうして冷静に「問い」を磨いていくところに携わらせていただくことが、一番変化に貢献ができるのかもしれません。

あとは地域の本気の方々、そして地域の方々を思い、本気で貢献しようという方々の「熱量」、そして化学反応を、とにかく邪魔しないようにする。

そういうことかもしれないな、TURE-TECH丹波を通じて改めて感じたのでした。

これは、生涯かけて精進ですね。

ChangeWAVE

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