【講演レポート】変革の起こし方、4つのステップ

2019.5.22

2019.5.22 ChangeWAVE

「変革」を事業の根幹に置き、本質課題と時流にあわせたアプローチで企業に伴走するチェンジウェーブ。お客様からのお問い合わせも多岐にわたりますが、中でも多いのが「変革の起こし方について詳しく知りたい」というもの。

10年前と比べ、世の中の変化のスピードがますます加速していると感じるのは、おそらく変革屋である私たちだけではないはずです。
「ガラポン」と呼ばれるような大きな構造変化の波も、避けては通れない時代の流れでしょう。当然、変革の形も起こし方も変化しています。

今回は、チェンジウェーブ代表の佐々木が株式会社ダイエー様の管理職向けに講演させていただいた「これからの」変革について、ダイジェストでご紹介します。

「1年前は考古学」―これまでの変革の王道


変革の王道

これまでの変革は、その中枢を担うリーダー主導のもとで進められてきました。リーダーは、経営者や本部の中核人材のような「誰もが認める」人物です。
彼らが課題と解決策を設計し、制度を変えて、会社全体を変革していくのが王道でした。経営者の仕事はそれを主導することといっても良いでしょう。

しかし、環境変化のスピードが圧倒的に早まっている昨今、このパターンでは間に合わないケースも増えてきました。

以前、ある経営者に「1年前は考古学だ」と言われたことがあります。たとえば太陽光などの代替エネルギーが登場し、何年も経ちますが、何となく「コストが高い」という印象を持っていないでしょうか?
たしかに以前は、実際に石油や原子力による電力に比べコスト高でした。しかし最近になって、太陽光発電のコストは大幅に下がってきています。

また、「少子高齢化」も言われて久しい言葉ですが、日本のシニアも大きく代わりつつあります。
たとえば、60代・70代のインターネット利用者の割合は、10年でそれぞれ20ポイント近く増加しています。5年前のシニアのイメージで施策を考えると、的外れなものになる可能性が高いのです。


シニアのネット利用者割合

そして、これからの時代の変革は、「当たるかどうか分からないけど、まずやってみる」姿勢、つまりチャレンジの回数をいかに増やすかがポイントになります。

以前のように、特定の誰かが先導するのではなく、みんなが変革をやり始め、有機的につながった結果、組織全体の変革につながる――そんな変革が、これからの時代には求められるのではないでしょうか。

これからの時代の変革4ステップ

では、具体的にどうやって変革を起こせば良いのでしょうか。
まずは4つのステップを紹介します。


変革の4ステップ

STEP1は「ターゲットをどこに絞るか?」。これまでさまざまな変革を手がけてきましたが、最も効率が良いのは「強力な固定観念」に狙いを定めることです。

STEP2は、固定観念に狙いを定めた上で、それを反証する実験を行うこと。
STEP3は、反証する実験が成功するように、そして成功した結果が波及するように仕掛けること。
STEP4は、実験や波及の際、多様な人たちを上手く巻き込むこと。

それぞれ具体的に見ていきましょう。

STEP1 :「強力な固定観念」に狙いを定める

人は脳の仕組み上、目で見たものを脳で処理して初めて「認識」します。つまり「そこにあるわけがない」と思うものが目に入っても、絶対に「見えない」のです。

同様に、強力な固定観念があると、それに反する情報は見えません。
「この人は、悪い人だ」と思うと、悪い人に見える情報しか入ってこないのです。

変革を妨げる最大の原因は、強力な固定観念とそれに伴う恐怖です。
「お客様に迷惑がかかるのでは」「売上が下がるかもしれない」「言い出したら上司に怒られる・つぶされるんじゃないか」など、変えたほうが良いことは分かっていても、簡単には動けないことも少なくありません。

たとえば「高齢者は健康志向の食品を求めているものだ」という固定観念に対し、ある飲料メーカーが実験を行ったところ、健康に良い成分の入っているお茶より、甘いジュースのほうが人気が高かった、というものがあります。

まず自分たちの固定観念が何なのか、一度棚卸ししてみるのが1つ目のステップです。

STEP2:実験してみる

実際に確かめてみなければ分からない「固定観念」が、世の中にはたくさんあります。そこに狙いを定め、「本当にそうか?」と反証する実験を行うのが、2つ目のステップ。

実験のプランを立てる際、どんなことが起きそうか想定しておきますが、実際は思ってもいなかったことが起きることも多々あります。それがイノベーションの種や経験値、競争優位性になるのです。
実験してみた人のほうが学びが多く、その分他の人よりも早く新しいことができるようになります(実験の具体例については、本稿では割愛します)。

STEP3:動くように仕掛ける

実験を行うのは非常に重要ですが、それが本当に全社に波及する、意思決定につながるものでなければ、「実験した」というだけで終わってしまいます。実験の成功確率を上げるために、上手く仕掛けるのが3つ目のステップです。

チェンジウェーブが運営する「MICHIKARA地方創生協働リーダーシップ プログラム」を例に挙げてご説明したいと思います。


MICHIKARA 地方創生

MICHIKARAは、民間企業の幹部候補生が塩尻市に行き、市の職員と共に、塩尻市が抱える行政課題の解決策を提示するというもの。これまでにリクルートやソフトバンク、日本たばこ、オリエンタルランド、日本郵便、ANAホールディングスなどの企業にご参加いただいています。

各社の参加者と行政の担当課がチームになり、市民にヒアリングをしたり、データを集めたりしながら課題解決を図る、市長に提言し、認められたものは、予算編成、議会承認を経て、実際に事業化されます。

このプロジェクトから、「ICT産業集積戦略の構築→高校生起業家育成」や、「森林整備の多様な担い手確保→森林公社設立」など、過去5年37チームで、約1/3がすでに事業化・予算化されています。
さらに塩尻市の行政経営システムに組み込まれ、新たに「地方創生推進課」という部署も発足しました。

MICHIKARAがなぜできたのか。それには以下4つの理由があります。

  • 動く人たちとつくる
  • 動くようにつくる
  • ライトパーソン(Right Person:適切な人)を集める
  • 本気で世の中を善くするために リアルに向き合う

会社を動かす際、「どこを動かせばいいのか?」を把握しておく必要があります。よくある失敗例は、「今の体制はおかしいから、まず体制を変えよう」とすること。これはハードルが高く、かつ効果が薄いケースがほとんど。

どの組織・人が動けば、大きく動くのかは、会社によっても成長ステージによっても異なりますが、ライトパーソンを押さえておくことが非常に重要です。

STEP4:「多様な個」を力にする

STEP2,3で挙げた事例は、実は「多様性」が固定観念を崩す突破口になっている例です。

MICHIKARAでは、行政・民間企業の一方だけでは難しかった課題が、両者の視点が重なることで固定観念が崩れ、リアルに向き合うことによって解決策を生み出すことができました。<
なぜこの課題が起きているのか? を考える際、本質に気づくために「多様な個」が必要なのです。

多様性の重要さは、さまざまなところで語られていますが、その目的は何なのでしょうか。仮説として持っているのは「多様性があると、意思決定の精度が上がる」というものです。

例として、『LIFE SHIFT』の著者、リンダ・グラットン氏と対談させていただいた時に伺った話をご紹介したいと思います。

彼女が教授を務めるロンドンビジネススクールの授業では、さまざまな企業のケーススタディを行います。
その中で、当時は「ベストプラクティスだ」と言われていたものの、今は見る影もなくなった企業が2社あるそうです。それがノキアと、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドです。
以前のノキアは、携帯電話業界で世界の覇者でした。しかしiPhoneやAndroidにその座を奪われ、株価も一気に下落しました。

この2社に共通しているのが、「同国籍の白人男性・考え方や生活もほぼ同じメンバーが経営していた」という点です。

連続的かつ見通しのつく変化の中で経営判断をする場合は、過去の経験値の延長線上に市場があるため、過去の経験を同じくしている人が判断することが、正解になる可能性が高くなります。高度成長期の日本も同様です。
しかし変化のスピードが加速度的に上がっている昨今、ユーザーのニーズが一律とはいえません。同国籍・性別・考え方や生活が同じメンバーでは、意思決定を誤る可能性が高いといえるでしょう。

多様な個の力を信じられるか?
トライ・アンド・エラーを重ねながらでも、本気でやらせたいと思えるか?
この2つは、組織としてとても大きな力になるのではないでしょうか。


STEPS

自分で何か考える・決断する際、よく議論したり意見を聞いたりする人を10人リストアップしてみてください。
その方々の国籍や性別、年齢はどんな分布になっているでしょうか。業界や所属組織、専門性の分布はどうでしょうか。

多様性の力を信じられるかどうかは、自分自身が普段から多様な人たちの力を活用しているかどうかに比例します。
さらに自分自身の固定観念の枠は、どれだけ多様な人たちと付き合っているかによって、広がったり狭まったりします。

もし明日から何かを変えたいと思うなら、ランチに行く人や週末に会う人など普段接する人や、意見を聞くときの相手を広げてみてください。

変革は論理で起こすことはできません。
「変えたい」と本気で思い、実際に動き、最初の波を起こす「ヒト」たちが存在することが、変革の出発点になるのです。


100ページ超のスライドをもとにした今回の講演。会場は熱気に包まれ、中継されていた近畿事務所も含め、集まった管理職のみなさまからもたくさんの質問をいただきました。

ダイエーのみなさま、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

ChangeWAVE

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