なぜ今、変革屋が「仕事と介護の両立」変革に挑むのか

2019.7.3

2019.7.3 ChangeWAVE

2016年、チェンジウェーブの関連会社として、IT系介護ベンチャー・株式会社リクシスがスタートしました。

変革屋がなぜ「仕事と介護の両立」に挑むのか、佐々木がその想いをお伝えします。

変革屋として挑む

株式会社リクシスを立ち上げたのは、チェンジウェーブが10年の節目を迎えようとする矢先のことでした。

チェンジウェーブとして数々の多様性推進や組織変革に携わらせていただく中で、「仕事と介護の両立」という言葉には随分沢山遭遇してきたのですが、その本質を知れば知るほど、このテーマほど、津波のようにリスクが顕在化する恐れがあるにも関わらず、固定観念が強く、本当に必要な情報理解が進んでいない領域はない、と感じたからです。

日本は少子高齢化が進み、人口構造はピラミッド構造から逆ピラミッド構造に転換しはじめました。2025年には団塊の世代が、平均健康寿命であり、要介護認定率が大きくアップする75歳近辺に差し掛かります。働きざかりの団塊ジュニア世代を中心に、仕事と介護の両立は、そろそろ準備を進めておく必要があるテーマであり、将来不安も大きいわけです。

それなのに、「うちの従業員の準備はかなり進んでいるから大丈夫」と明言される人事の方は、ほとんどいらっしゃらない。「実際の介護離職は少ないのだし、本当に重要なテーマなのか」とおっしゃる経営者の方も決して少なくありません。

なぜ、この不思議なねじれのような現象がおきるのでしょうか。

実態が殆どつかめず、施策の打ち方も難しい

実態調査をしていくうちに、従業員の「仕事と介護の両立問題」は、人事や経営の方にとって非常に実態が把握しづらく、有効な施策が打ちにくいことがわかってきました。

第一に、「介護が始まったとしても人事には言わない」という従業員の方の割合が、想定以上に高いこと。このため「介護休暇」や「介護相談窓口」という様々な制度も、多くの企業様で「思うように利用されない」という状況が続いています。

実際、「介護との両立」は「育児との両立」と比較されることが多いのですが、「介護」は「育児」と異なり自分に経験も相場観もなく、突然やってきて、先の見通しがつかない。従業員ご本人にとっても不安が大きく、その負担が続くこと自体が自分の将来キャリアに大きく影響してしまうと考えがちです。

結果として、実態の多くは表面化せず、「潜ってしまう」。企業側としても、なかなか有効な打ち手や施策を打ちにくい構造が続いているのだと思います。

20代、30代にも広がり始める「介護問題」

リクシスを立ち上げ、とある企業様と「仕事と介護の両立支援クラウド(LCAT)」で実態の解析を進めていると、驚くべきデータを目にしました。「すでに日常的に介護と仕事の両立をしながら仕事をしている」と答えた方の中に、20代、30代の方々も多く含まれていたのです。

彼らの多くは、主に祖父・祖母のケアをされている50代のご両親と介護負担を分担されている、いわば「孫介護」セグメントでした。

現在50代前後のご両親たちにのしかかっている介護負担は決して小さくなく、場合によっては「働きながら」、場合によっては同時に2人以上の高齢者ケアをしなければならない。 そんな中で、ご両親の負担を少しでも軽減しようと、孫世代がケアのルーティンの一部に入っていくパターンです。

兄弟姉妹の数も少なくなり、少子高齢化が進む中、ケアをする側の家族の人数が足りなくなり、精神的・物理的負担が主たる介護者である親世代に過度にかかり始める。結果、自然と「孫介護」も始まってしまう。そういう構造変化が起き始めているのだ、と痛感した瞬間でした。

そのときでは遅い、「情報不足」の禍根の大きさ

もう一つ大きな問題があります。

「仕事と介護の両立」は、大介護時代に突入する日本では今や誰にも降りかかる極めて大きな問題であるにも関わらず、ほとんどの人が、その時が来るまで「完全に丸腰」である、ということです。

例えば「どういう状況になったら要介護申請をすべきか、判断できますか」という問いに対し、YESと答えられる方は、親御さんの年齢にかかわらず極めて限定的です。

そして、多くの方がなんとなくイメージしている「要介護の状態」は、本来なら介護のプロが介入したほうがよい状況よりも、ずっと遅いタイミングを想定されている場合が多い。

結果、「介護と気づかず家族だけで看護してしまう期間」が増え、かえって症状を加速させてしまったり、後手に回って本来取りえた選択肢を取れなくしてしまったりすることも多々あるということです。

在宅医療に詳しい医師と話していても、「最低限これだけはわかっておいたほうがよい」という介護を巡る正確な情報が、多くのご家族に正しく伝わっていない、「むしろ世の中的には真反対の認識がされていることが多い」と感じられることが多いと伺いました。本当に必要な情報知識は、それほど多岐にわたる訳ではないのにも関わらず、です。

実際に介護経験者の方にアンケート調査を行ったデータをみると、「もっと前もって準備をしておけばよかった」という方は圧倒的に多く、その準備不足の筆頭に挙げられるのが「介護に関する情報・知識」の取得でした。

介護ハンドブックや研修セミナー等、必要な情報知識発信については企業側も多大な努力をされているにも関わらず、なぜ実際の知識装着・情報準備はなかなか進まないのでしょうか。

最大の壁は「強烈な固定観念」と「照れ・遠慮」

変革屋として、仕事と介護の両立問題に関わり始めて強烈に感じたのは「理屈だけでは全く前に進まない」理由が、そこに大きく立ちはだかっているということです。

一つは、「介護」というものに関する、昭和の時代に形作られてきた強烈な社会概念です。「介護=家族がみるべきもの」「介護=ひどい認知症または寝たきり」「介護=食事または下の世話」──。こういったものに囚われていると、「介護=誰かが我慢するしかない」という道しか見えなくなってしまう。結果、介護というものに対して「向き合いたくない」「なるべく先送りにしたい」という無意識の忌避感が生まれてしまい、ぎりぎりまで準備しないという行動がデファクトになってしまう。

そしてもう一つのハードルは、親子という関係に内在する「照れ」と「遠慮」です。仕事と介護の両立のためにも、ご本人の意向を聞いておくことは極めて重要になってくるのですが、ここにはどの家族にもある「そうはいっても、改まって話はできない」という大きな心理的なハードルがあります。

従業員の方々の「仕事と介護の両立準備」を本質的に加速させるためには、そういった「心理的ハードル」や「強力な社会概念の存在」を大前提にした設計が必要になります。
つまり、時間負担と心理負担を最小限に抑えた形で、「気軽に」「無理なく」「効率的に」、概念変換と情報知識装着を同時に実現できる、そんな画期的なアプローチが必要なのでないでしょうか。

そのために必要なのは、最先端のIT技術と、現場の専門家による実践的かつ正確な知識。そして、本当に必要な情報を必要なタイミングで、最小限の負荷で届けるための情報編集技術なのではないかと、私たちは考えています。

大介護時代に、「すべての人の物語が輝く世界」を。
変革屋としての新たな挑戦は、始まったばかりです。

株式会社リクシス主催イベント
「仕事と介護をめぐる知られざる構造変化
~令和最大の組織課題をどう乗り越えるか~」

7/31(水)15:30~17:15 フクラシア八重洲
企業は、従業員の介護にどのような施策は行うべきなのか。
数千名のデータを通じて見えてきた、仕事と介護の両立に関わるリアルな実態をレポートします。
基調講演には医療・在宅介護のトップランナーである佐々木淳医師をお迎えし、「在宅医療・在宅介護の最前線 ~これからの時代の家族のかかわり方~」をお話いただきます。
https://event.lcat.jp/

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