「今の管理職のようには働けない」は変えられないのか
Leaders’ Program 2023
「人的資本経営」をめぐる動きが本格化し、その土台ともなるダイバーシティの推進とアンコンシャス・バイアスへの取り組みは、もはや必須と言えます。
中核人材多様化の一歩として多くの企業では女性管理職の登用を進めておられますが、管理職に就いた方からは「従来のリーダー像に捉われてしまい、続けられるか不安」「自分のマネジメントに自信がない」という声が聞かれるのも現実です。
チェンジウェーブでは、Leaders’ Program2023を2月3日に開催。
異業種他社とのネットワーキングに加え、自らにブレーキをかけるアンコンシャス・バイアスへの気づきや身近なロールモデルの「パーツ」に触れて視野を広げ、自分の強みを活かした管理職として前向きな一歩を踏み出していただけるよう、設計しました。
本レポートでは、15社25名の参加者が仲間と学び合い、「これなら進んでいける」と思える自分らしい道を探究した1日の様子をご紹介します。
「これでいいのか?」
管理職女性自身が抱える課題を解決する
チェンジウェーブでは、エイカレ、エンカレといった異業種研修や女性リーダー人材育成プロジェクト、アンコンシャス・バイアス可視化ツール「ANGLE」のデータなどから管理職の女性が抱える課題に向き合ってきました。
この実績をもとに、Leaders’ Programでは主に4つの悩みにフォーカスしたプログラムを展開しました。
- 管理職としての不安・自信のなさ
管理職にはなったものの、「これで良いのか」不安。「引っ張っていく」「24時間フルコミット」といった旧来リーダーのイメージが強く、自分の「強み」が生かせていない - キャリア構築を拒む無意識バイアス
「女性にリーダー・マネジメントは難しい」という無意識バイアスや、「上級管理職までは目指さなくていい」と無意識に自分にブレーキをかけてしまう - 視野を広げる機会・ネットワークの不足
社内外のつながりが少なく、多角的な視点で考えられない。情報収集がSNSやインターネットに偏り、視野が狭くなりがち。 - キャリアビジョンについて考える機会が少ない
「現状の働き方では長く続けられないかもしれない」という不安感を持ちながらも、日々の業務が忙しいため、中長期的なビジョンを含め、キャリアについて考える機会がない
これらを踏まえ、Leaders’ Programは「管理職としての自信のなさ」を払拭し「さらなるキャリア構築に向けてのビジョンを持つ」ということを目的としています。
「この場だから出せる」管理職のホンネ
Leaders’ Programの参加者から多く聞かれたのは「皆さんと本音トークをしつつ、前向きにキャリアを歩めるようになりたい」という声でした。
このプログラムでは、普段なら言わない「ほんとうの本音」を共有することをグラウンドルールとしています。違いがあっても尊重と敬意を持って接し、学び合うこと。今までの考え方より、「今、感じたこと」を大切にすること。守秘義務を守って安心安全を確保することなどを冒頭で共有し、スタートしました。
参加者アンケートより
|
性別バイアスについての学びが突破口になる
アンコンシャス・バイアスは誰にもある、脳の機能です。その中でも性別バイアスは、年齢性別に関係なく、多くの人に強く存在しています。バイアスを測定するテスト「IAT」
でチェンジウェーブが収集したデータでは「家庭と女性、仕事と男性」を結びつける性別バイアスを強く持っているのは女性の方が多いという結果もあります。
また、自分の能力や実績に自信が持てず、過小評価してしまうという「インポスター症候群」も女性の方が多いと言われています。
しかし、自分自身に対して持っている性別バイアスを認識し、知らず知らずのうちに自分の可能性に蓋をしていることに気づくことで「女性だから」ではなく「私だから、こうしたい、こうしよう」を目指せるようになっていきます。
参加者アンケート「自分の未来に前向きになれた」と答えた方(91%)のコメントより
|
異業種の管理職女性同士でのディスカッションによる気づき
グループディスカッション後の全体共有では、「『嫌われたくない』という思いが拭えないと相談したら、管理職は嫌われるものだよ、と言われました」という発表があり、「嫌われる、の定義は何か」と深掘りしていく場面もありました。女性管理職といっても皆違う視点を持っています。ディスカッションによって新たな気づきが生まれたり、自分の思いこみに気づいて発想の転換ができたりします。
その後のワークでは、自分のありたい姿を描いてさらにディスカッションを重ね、自分の意志で次の目的地を選択するための、羅針盤とも言えるものを探っていきました。
参加者による気づきの共有
|
「これからの働き方」「これからのリーダー」に必要なこと
午後からは、午前中に見えた気づきや、新たに生まれた迷いを払拭するために、株式会社働きごこち研究所・代表取締役、藤野貴教さんに講演をしていただきました。
特に印象的だったのは「ミドルマネジメントに必要なのはトランスレーターになること」「トランスフォーメーションするためにはトランスレーションが必要」という言葉です。
会社が目指すものをどう翻訳し、部下に伝え、モチベーションを引き出すのか。パーパス経営について、自分なりに説明できるように解釈、理解しようとする姿勢が大事だという言葉を受けて、新たな視野が開けたという感想も聞かれました。
さらに、ITツールを活用してどのように効率化するのか、オンライン業務が増えた時代の時代の組織マネジメントについても藤野さんからアドバイスがありました。
ロールモデルとの対話で自分ごとにしていく
Leaders’ Programでは、参加者が自分の未来を描くヒントを得るために、先輩女性マネジメントに登壇していただいています。ロールモデル自身の転機について語ることで、今後に役立つ「考え方」と同時に「具体的なヒント」が伝わります。
参加者からは「自分の中で気づかないうちに壁を作っていた」「自分が部下だったときにはいいフォロワーでいてくれるリーダーが良かったのに、自分が管理職になったら、気合い入れすぎていました」という声が上がり、自分が「リーダー」「管理職」という固定観念に無意識に縛られていたことへの気づきが多く聞かれました。
ロールモデル パネルディスカッション
増谷真紀様 (写真左上)
株式会社ブリヂストン 人材育成部上席主幹(DE&I・ピープル未来創造部長)
宮園香代子様 (写真左下)
ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 東日本エリア営業本部 本部長 兼 関東第2統括部 統括部長
藤野貴教様 (写真右下)
株式会社働きごこち研究所 代表取締役 ワークスタイルクリエイター
鈴木富貴 (写真右上)
株式会社チェンジウェーブ 上席執行役員
自分と向き合い、これからの道を探索
前向きな一歩を踏み出す
様々なインプットやアドバイスを得た後で、最後は、自身に向き合い、今後のアクションにつなげるワークに臨みます。
「明確な目標がない状況だったが、自分ならではの価値を出せるように動く!論理的思考でやっていけるようにチャレンジしたい」
「『働き方改革』とか色々面倒だと思っていたが、こういう立場だからこそできることがある。トランスレーターとしての役割について考えて、アウトプットしていきたい」
など、力強い宣言が聞かれました。
Leaders’ Programには、利害関係のない異業種他社との交流だからこそ、モヤモヤした気持ちや本音が吐き出せる、という面があります。ここで自分自身が持っていた思い込みに気づき、それがリフレームされると、これまでとは違う一歩を踏み出すことが可能になります。
チェンジウェーブがこのプログラムを設計する際に大切にしたのは、
- 固定されたリーダー像を目指すのではなく、自分の強みを活かせば良い、という肯定感を持っていただきたい
- とは言え、組織を理解する視野、政治力、ロジカルなコミュニケーションといった管理職に必須のスキルは身につける必要がある
という2つのメッセージです。
最後に参加者の皆さまが掲げた「自分へのエール」には、力強く前向きな言葉が並び、
今後のさらなる活躍が本当に楽しみになりました。
チェンジウェーブでは、このLeaders’ Programご参加者を対象に、コミュニティづくりも検討しています。
気軽に悩みを相談できる、アドバイスを得られる、ネットワーク構築を目指します!
ご興味持っていただけましたら、担当までお問い合わせください。