D&Iから生まれる新しい価値で未来をつくる
国立大学法人 東京工業大学様 事例紹介

2023.4.18

2023.4.18 ChangeWAVE

世界最高峰の理工系総合大学の実現を目指し、東京工業大学は変革を続けています。東京医科歯科大学との統合発表、2024年4月の入学者から適用される「女子枠」の導入など、その変化が注目を集めているのは言うまでもありません。
自由な場、多様な個人が尊重される場がその創造性を育むとして、礎となるダイバーシティ&インクルージョンについては、2022年1月に推進宣言を出され、力強く推し進めておられます。
挑戦を続ける東工大D&I推進の舞台裏を、桑田薫様(理事・副学長、ダイバーシティ推進担当)と長内隆様(労務室長)に伺いました。

(聞き手:株式会社チェンジウェーブ 上席執行役員 鈴木富貴)

インタビュイー

桑田薫 様
東京工業大学
理事・副学長・ダイバーシティ推進担当
桑田 薫 様


東京工業大学
総務部 人事課 労務室長
長内 隆 様

 

「TEAM東工大」で変革を進め、
D&Iを日本の大学のムーブメントにする

東京工業大学では、「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を掲げて、D&Iに向けた取り組みを加速させています。2018年に就任された益一哉学長は、「挑み続け、未来を創る東工大」をキャッチフレーズに、「東工大アクションプラン2018-2023」を策定。その第1項に掲げたのが「創造性を育む多様化の推進」です。就任当初から、多様性を強く求めていたことになります。

 

桑田様
「ダイバーシティは、逃してはならない時流です。本学でも、『多様な人が認め合いながら、新しい価値を生み出す』校風をつくるために、環境整備を進めています。

かつて日本は、製造業で世界をリードしていましたが、巨大IT企業全盛のいまはビハインドが続いています。世界に遅れをとらないために、D&Iの環境からよりよい価値を生み出していきたい。そしてこの流れを本学から大学全体のムーブメントに育てたいのです。日本の大学が同じ志のもとに、それぞれの取り組みを行うことで、新しい時代を切りひらくことができると思います。

まだ最初の一歩を踏み出したばかりですが、私たちは『TEAM東工大』として、職員、学生、卒業生が一丸となり、D&Iを力強く推し進めていく決意です」

 

チェンジウェーブ・鈴木
学士課程入試での女子枠の導入や東京医科歯科大学との統合など、貴学が打ち出されている未来像からもD&Iに向かう強いメッセージが伝わってきます。
では、そのために必要な環境づくりとは、どのようなものなのでしょうか。

 

桑田様
「本学には留学生も多く、国籍、人種、宗教などさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが快適に過ごすためにはどうすればよいのか、常に考えています。例えば、宗教によってはお祈りの場所をつくるなど、その人にとって不便がないよう物理的に整備しなければなりません。

そして、もっと大切なのは、心の垣根を取り払うことです。『少数派だから発言できなかった』というような事態は、大学というイノベーティブな場にふさわしくない。そうしたことが起きないように、お互いを尊重し合える環境づくりを目指しています。ただ、バックグラウンドが異なれば感覚の相違が生まれるのは当然で、一筋縄でいく問題ではありません」

 

長内様
心の問題は難しく、自分では気づかないこともあります。配慮のつもりでとった行動が、相手のチャンスを奪うことになったり、疎外感を与えたりすることもある。そこまで深く考えるのは実に難しいことですが、自分と相手の感覚が違うことを常に意識しておかなければならないと考えています。

 

自身のアンコンシャス・バイアスを知り、
議論のための土台を整える

チェンジウェーブ・鈴木
そうした課題感から、アンコンシャス・バイアス対処に着目されたのでしょうか?

 

桑田様
「はい、D&Iを勉強するなかで、必ず目にとまるのが『アンコンシャス・バイアス』という言葉です。『誰にでもアンコンシャス・バイアスはあり、意識することで乗り越えられる』と、教科書的な本には書かれています。知見がある方からも、アンコンシャス・バイアスについて教わる機会が多く、課題の正体がそこにあることは承知していました」

学習を進める中で、桑田様は「当然、自分にもバイアスがあるだろう」という認識を持たれていたそうです。ところが、学内の複数の先生から「自分たちにどんなアンコンシャス・バイアスがあるのか、それを知らずして、本当にわかっていると言えるのだろうか」といった問いが投げかけられたのです。

 

桑田様
「『われわれは何者なのか。自らを知ることから始めるべきではないか』と問題提起をしてくださった先生が何人もいらっしゃいました。もしかすると、自分はバイアスだらけの人間かもしれない。バイアスを持つ者同士が議論したところで、その軸が正しいかどうかさえわかりません。

そんなときに出会ったのがANGLEです。本学リベラルアーツ研究教育院の准教授で、ジェンダー問題の専門家からの勧めもあり、ANGLEを導入することになりました」

 

ANGLEで得た共通の指標が、議論の土台をつくる

今回のケースでは、大学改革を担う方々が同じ土俵に立って議論するための「指標づくり」が目的のひとつと言えるかもしれません。まず土俵合わせをする。その手段として、アンコンシャス・バイアスを測定し、数値化できるeラーニング・ツール、ANGLEを活用いただくことになりました。

今回ご受講いただいたのは、大学執行部、部局長、事務のマネジメント層の方々です。お忙しい先生方がスキマ時間を利用して手軽に受講できることが、ご導入の決め手だったそうです。

 

桑田様
ANGLEは、学術的に裏づけされた方法論で評価を行います。指標が数値化されるためクリアで、自分のポジションを客観的に見られるところが魅力でした。さらに年齢バイアスと性別バイアスで区別して評価できる点もよかったですね」

 

長内様
「事務局として進捗管理をするうえで、管理画面も見やすい。進捗を確認できるところも良いと感じました。管理者の使いやすさもメリットだと思います」

ANGLEでは、IAT(アンコンシャス・バイアス測定テスト)で受講者のバイアスレベルを測定できるほか、基礎知識のインプットや記述式のワークがあり、他の受講者との比較などもできます。2023年3月現在、8万人のバイアスデータを有しており、傾向比較などから自組織の課題を抽出するサービスもご提供しています。
東工大ご受講者の結果は、分析をもとに、動画を使ってご報告しました。

 

チェンジウェーブ・鈴木
ANGLEご受講後、何か具体的に変化を感じておられることはありますか?


長内様

「無意識のなかにバイアスが潜んでいることを実感しました。思い込みは誰にでもある。受講を通して確信しました。自分を振り返ることができると、言動を変えよう、となりやすいですね。今後の取り組みを考える土台ができたと感じています。」

 

桑田様
「私も受講しましたが、自分の想像とは違う部分のバイアスが高く出たり、その逆もあったりと、自己発見につながりました。分析結果の動画では、大学固有の課題を浮かび上がらせた点で有意義だったと思います。

また、受講の成果を感じているという声も届いています。
実はこれまで、女性の職員や学生に対する言動には気を遣っていたのですが、男性が多いという環境もあり、男子学生への配慮はほとんどありませんでした。その視点自体が欠けていたのです。
本学では実験の機会が多く、ときに長時間に及ぶことがあります。そうした状況下、現在の研究室では、相手の属性を問わず『今日は遅くなっても大丈夫?』という確認が行われているところも出ているそうです。性別に関係なく、一人ひとりがそれぞれ事情を抱えているということを意識するようになったのは、大きな収穫だったと思います」

 

桑田様
「もう一つ、面白い変化がありました。受講後、『アンコンシャス・バイアス』という言葉が多く飛び交うようになったことです。そして『アンコンシャス・バイアスで不都合が生じているのであれば、是正しなければならない』といった文脈に展開されていく。先生方にとって、それだけANGLE研修のインパクトが大きく、新しい知識としてとらえてくださったのだと思います。これまで意識していなかったアンコンシャス・バイアスを課題として認識してもらえたことは、大きな一歩です

 

東工大から社会へのムーブメントを

チェンジウェーブ・鈴木
では、今後の展望をお聞かせください。


桑田様

「これからは具体的な施策に展開して、変化を生んでいかなければなりません。全体に普及させ、一丸となって変革につなげていく必要があります。「TEAM東工大」としても、また、他大学を巻き込みながら大学改革の機運もつくっていきたい。さまざまなご意見やご指摘をいただきながら歩んでいかなければならないと思っています」

 

ダイバーシティ&インクルージョンを学びながら推し進め、改革への機運を高めていく。「学ぶ」ことに対する真摯な姿勢のなかに、強い決意がにじみます。私たちチェンジウェーブもその思いを共有しながら、さまざまな場面でお役に立てるように力を尽くしてまいります。

桑田様、長内様、本日はありがとうございました。

ChangeWAVE

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