チェンジウェーブ(以下CW)のプログラムに足を運び、設計過程についてヒアリングする中で、CWの特色や、なぜ圧倒的成果を産めるのか、そのメカニズムがみえてきた。
特色の一つは、企業の経営陣や人事部門との人材育成プログラム準備の過程で、経営目線での目標の明確化や課題の整理まで支援すること。課題整理は殆ど行わず、既成のプログラム提供を主とする事業者も少なくないが、CWは高次の課題整理に対して、育成プログラムの直接的な準備・提供と同じぐらいのエネルギーと時間をかけている。
もう一つは、参加者自身が変わりたいと強く感じる育成プログラム。顧客の経営課題や参加者自身の内面などの題材選定もさることながら、最大の特色は講師陣にある。CWのセッションを観察すると、要はコンサルティングとコーチングを同時にやっている。片方できる方は多いが、両方のスキルをこのようなトップレベルで備えているのは珍しい。
更に、経営課題整理と人材育成が別々でなく、CWの支援を通じて一気通貫で行われることもポイントで、これにより、組織変革が加速される効果がある。
前野 隆司 氏 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授。東工大卒、同大学修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現職。博士(工学)。専門は、イノベーション教育、システムデザイン・マネジメント学、幸福学など。『幸せの日本論』(角川新書,2015年)、『システム×デザイン思考で世界を変える』(日経BP、2014年)、『思考脳力のつくり方』(角川書店,2010年)、『脳はなぜ「心」を 作ったのか』(筑摩書房,2004年)など著作多数。