ダイバーシティ推進の本質は多様な意見が意思決定に反映されることにあります。
しかし、多くの企業では、まだそれを実現することは難しい、と感じられているのではないでしょうか。
自律型の人材を育成し、現場からの変革を起こすためには何が必要なのか?
「当たり前」を打破する変革に向けて研修とプロジェクトを立ち上げられ、現場発の提案が経営層を動かすまでに発展した、株式会社ダイエー様の事例をご紹介します。
「アタリマエ」を打破する、ダイ満足フォーラムとは
ダイエーの変革に向けた研修「ダイ満足フォーラム」は2019年にスタート、2年間で110名の女性社員が参加しています。
参加者は5~6名のチームを編成し、自らの課題解決を目指します。
テーマは「地域のお客様から支持されるお店づくり」または「自分たちの働き方改革」。
自分たちの「当たり前」を打破する実証実験を行い、その結果をもとに経営層に対して提言します。この提言はコンテスト形式を取り、経営層は審査員として各チームへのフィードバックを行います。優れた提言は会社の施策として実際に取り入れられています。
今回は、プロジェクト立ち上げを担い、事務局として尽力されている
人事部採用教育・人材育成チームの西尾朋子様にお話を伺い、ダイ満足フォーラム成功のポイントを探りました。
「自分がやる」、という意識変革が起きた
「人が変わる瞬間」を見られた2年間でした。会社としても、ダイバーシティ、そして変革が確実に一歩・二歩進んだ、という手応えを感じています。
もちろん、これまでもダイバーシティ推進の取り組みは進めてきたのですが、本社主導になっているのではないか、現場と温度差があるのではないか、という課題感を持っていました。
経営層が「現場の声を戦略に反映したい」と考えていたこともあり、なんとか現場発の変革を起こせないかとチェンジウェーブ様に相談し、佐々木様に講演をお願いしました。
その講演で「まずは実験してみては?」と言われたのが社内に強く響いたんです。
※佐々木の講演概要はこちら
https://changewave.co.jp/2019/05/22/change-4steps/
店舗を始め現場には、熱い想いを持っている人がいることは分かってはいました。話を聞いていると「考えていることはあるけど、実現は難しそう」「既定の意思決定プロセスだと、自分たちの提案は載せづらいかな」などという声がありましたから、これはチャンスだな、と思ったんです。
普段できないことをやれる、となれば、みんな前のめりになるのではないかと。
もちろん初めは心配もありました。実際、参加者の中には「業務で忙しいなか、本当にできるだろうか」という不安な声もありましたから。ただ、良い場を仕立てていただき、「人が変わる瞬間」を目のあたりにした、と実感しています。
上司が見方を変えた 自律型人材への成長
自ら動く、まさに主体的になって、上司も驚くような成長を見せました。
日々の業務に忙殺されていた人が「変えなければならないのは環境でなく、自分自身だった」と思い直して行動を起こした、とか、「こんな提案したらみんなに反対される」と思っていた人が「あれ?試してみたらなんだか周囲が応援してくれる」と気づいて次の行動を起こしたとか、そんな体験を通して、確かに変わっていったんです。
事実の強さと言うのでしょうか。例えば、店長の一歩手前の女性が、他店の店長を経験する、という実験を行ったチームがあったのですが、一回り成長して帰ってきた、彼女のマネジメントぶりを見て、上司の方が刺激を受け、次の店長としてより真剣に後押しをするようになりました。何より、目の前にいる部下の言動が変わった、という確かな事実が上司を動かすんですよね。
ダイバーシティは一部の人がやるものであり、自分は「受け身」だった、という人が、このフォーラムを通じて、「自分がやる」ものなのだ、という気持ちに変わったことも大きいと思います。
圧倒的な当事者意識が経営を動かす
喫煙者もいる経営層に対して、就業時間内の喫煙禁止を訴える実験ですよね。
パートタイマーさんが参加しているチームでしたが、やはり現場実感からの提案は強いですし、
受動喫煙の健康影響など、きちんと取られた実験データがありましたので、納得感も高かったと思います。
その後、「就業時間中の喫煙禁止」は全社のルールとして採用されました。
このほか、売場案内のためのシステム開発やチラシの見直しなどもありました。
これら提案の一部は、今年度全社で始めたカイゼン活動にも先行事例として紹介され、変革が波及していくことが社内でも期待されています。
経営層の本気と実践の場の力が変革を生む
経営層の本気と言いますか、理解と後押しがあったことは大きかったと思います。
まずは「現場の声を反映したい」という本気度が参加者に直に伝わりました。ダイ満足フォーラムには社長の近澤や各本部長が参加し、審査を通して各チームに直接フィードバックをします。トップと双方向のコミュニケーションを取る機会はそうありませんから、最初は戸惑っていた参加者もいましたが、自分たちの意見を本当に聞いてくれるのだ、と感じてからは、さらにやる気が出たようです。
受け身の研修ではなく、自ら変革できる場であること、提案に終わらない、実践そのものであったことも良かったと思います。
「この場を利用して、本当に変えたいと思っていることにトライしてほしい」と参加者には話していましたし、だからこそ、各部門の責任者には、研修主旨を理解頂き、実験中は「特区」として認めてほしい、協力してほしいとお願いしたんです。
正直、最初は、あまり乗り気ではない方も居られましたが、メンバーから積極的に関わりを持ち、実際に結果が出てくると、進んでサポートをしてくれるようになりました。
経営層の中には、既定路線で終わろうとするチームに対して「なぜ、そこであきらめるの?」と枠を広げようとしてくれた方もいて、その後押しが彼女たちを大きく飛躍させたと思っています。
決して楽なプロジェクトではなく、参加者は大変なことも多々あったと思いますが、社内の関心も高まり、「本当は変えたいと思っていたんだ」とか「男性版もやってほしい」という管理職も出てきました。
無意識のうちに既存の前提条件に沿ってしまう参加者に対して本質を突き、容赦ない壁打ちで意識を変えるプロセスを作ってくださったチェンジウェーブの皆さんにも感謝しています。
3年目は混合チームでDXを目指す
2年目、本社のICT部門と現場の意見を組み合わせて売場検索システムを作ったチームが高く評価されました。これを見て、本部と現場が組み合わされば加速度的に変革は進むのではないかという仮説が立ちましたので、3年目はDXという経営戦略に沿ったテーマで、参加者を性別問わず募集してみようと考えています。今年も伴走よろしくお願いします。
多様な意見を反映して組織を強くする、ダイバーシティを進めようと始まったプロジェクトが、事業変革のプラットフォームへと進化しようとしています。
チェンジウェーブが「変革屋」としての知見をこめた「アタリマエを打破する変革プロジェクト」。これからもリアルな変化を起こすことにコミットし、精進して参ります。