異業種プログラム「エンカレ」と自社研修を組み合わせ 女性リーダーシップ形成に高い効果
島津製作所様 事例紹介
D,E&Iを積極的に推進されている島津製作所様では、そのスタート地点としてジェンダー・エクイティの実現を掲げられています。
中でも女性のエンパワメントには力を入れておられ、意思決定層の多様化を目指し、女性管理職候補者の育成にも多面的に取り組まれています。
2023年には、チェンジウェーブグループの異業種プログラム「エンパワメント・カレッジ(以下、エンカレ)」を自社のプログラムと組み合わせる形で研修を構成。「手応えがあった」とのお声をいただきました。
本レポートでは、事務局を務められたお二人にその背景と成果を伺いました。
インタビュイー
株式会社島津製作所
人事部 人財開発室 DE&I推進グループ
戸波 弘美 様
株式会社島津製作所
人事部 人財開発室 DE&I推進グループ
八葉 沙織 様
※所属・肩書は取材当時
自社研修に「エンカレ」を取り入れ、
異業種交流のメリットをさらにアップ
―まず、島津製作所様で女性のエンパワメントに取り組まれている背景からお聞かせください。
戸波様
多くの企業で共通する課題かもしれませんが、当社でも、能力・スキルが十分あるにも関わらず一歩踏み出すことをためらう女性が多いのではないか、と感じていました。
当社は技術系企業のため男性社員比率が高い企業です。会議参加者に女性が一人だけという状況も時折あり、自分から発信しにくいように思ってしまうこともその背景にはあったかもしれません。
また、仕事と家庭の両立を支援する多くの制度や使いやすい歴史があるものの、性別役割分業意識に悩み、自分で自分のキャリアに制限をかけてしまったりする女性もいます。
私達は、単に管理職を増やすのではなく、「キャリアの選択肢の一つに管理職が当たり前に存在すること」を目指し、まず、マインドチェンジを図ろうと「女性リーダーシップ研修」を始めたのですが、より確かな変化を生むには、異業種他社やロールモデルとなるような方と交流し、自分のキャリアの重ね方を考える “場”が必要ではないか、と考えたんです。
―その“場”として、異業種交流型の研修である「エンパワメント カレッジ(エンカレ)」を選んでくださったんですね。
戸波様
はい、2022年が「エンカレ」初参加でしたが、想像以上に内容が充実していて驚きました。
視野を広げるために、異業種交流は大切です。自分とは異なる業種や職種の女性たちが語る経験談は、大きな刺激となり、自分のキャリアを考えるきっかけになる。わずか一日でも変化が生まれます。
実際、研修終盤には、参加した社員たちから「管理職も視野に入れていいのだと気づいた」との発言があり、表情にも変化が見られました。振り返りの場面では、本人たちの口からも「自らの変化を感じた」という言葉が出てきました。
率直に気持ちを共有する時間があった点も良かったと思います。他社でも自分と同じような悩みを持っている人たちがいることに気づき、勇気づけられたようでした。
八葉様
2023年のエンカレ参加者になりますが、社内アンケートからも感想をご紹介します。
<2023年「エンカレ」参加者からの声>
・職場で同じような立場にいる、他社の人との交流で刺激を受けた
・多様な考えを聞くことができた
・仕事もプライベートも頑張っている女性の姿は刺激になった
・キャリアについて考えるきっかけになった
・スーパーマンのような人にしか管理職は務まらないと思っていたが、いろいろなタイプの人がいて良いと思えるようになった
・管理職像が変わった
―ありがとうございます!2023年は自社の研修の中にエンカレを組み込んでくださったと伺ったのですが、その狙いを教えていただけますか?
戸波様
はい、2022年の「エンカレ」を経験して、2023年の自社研修では3つの方針を立てました。
① 社内ロールモデルとの交流
② 異業種交流
③ フォローアップミーティングの実施
この3つを組み合わせることでより効果を上げようというのがプログラムの企画意図でした。社内だからこそできることもある一方で、「視野を広げる」という点では、異業種交流は外せないポイントです。ここはやはり「エンカレ」の力を借りたいと思いました。
社内交流の利点を最大限に活かしたプログラムで
管理職人材の育成に取り組む
―エンカレご参加の方々より一つ上の階層、「管理職一歩手前の女性」を対象にした自社研修には、弊社の「Leaders’ Program(LP)」を取り入れていただきました。こちらの感想もお聞かせください。
戸波様
自分らしいリーダー像を描き、キャリアアップを前向きに捉えることができるように研修を実施しています。プログラムには社内のロールモデルとの交流を入れ、自社で行うメリットを最大限活かせるようアレンジしていただきました。打ち合わせを重ねて研修を企画したので、大きな成果を感じる大変良いものになったと思います。
八葉様
チェンジウェーブグループの田島さんの進行も素晴らしく、また大隅聖子さんに「組織を動かす」というテーマで講演してもらいましたが、感銘を受けたという声が多くありました。「組織を動かすには、“will”が大事だとわかった」「もっと“will”を発信していきたい」という感想が寄せられています。
<2023年Leaders’ Program参加者からの声>
・現時点で置かれている立場や先のことをじっくり考える時間が持ててよかった
・チームからフィードバックをもらって自分に自信が持て、未来像を描くことができた
・思った以上に、自分は“井の中の蛙”だったことに気づいた
・自分自身の将来のありたい姿について、もう少し深く考えたいと思った
戸波様
「LP」参加の翌月には、自社のオリジナルプログラムとして社内ロールモデルとの座談会を行いました。ここでは、女性役員と女性管理職の2名が登壇。参加者からはかなり踏み込んだ内容の質問が飛びましたが、これにロールモデルも本音で答えてくれたので、とても盛り上がりました。
その結果、参加した女性のほぼ全員から「自分も管理職を目指そうかな」という声が聞かれ、研修の手応えを感じています。社内の横のつながりも生まれ、心強さにつながったようです。
―異業種交流、自社内開催とそれぞれに良さがありますから、対象者に身に付けてほしいものに合わせた選択と構成が重要ですね。
リーダーシップに性別は関係ない
多様なリーダー像を描くために、女性管理職を育成する意義がある
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
戸波様
現在、国内のグループ会社の女性も含めて、リーダーシップマインドを育てる取り組みを行っています。当社にはまだまだ女性の管理職が少ないという課題があります。この問題意識を社内で共有し、私たちからも発信しながら、女性活躍の施策を理解してもらえるよう務めたいですね。
一方で、男女関係なく、どういうマインドで仕事に向き合えば成長につながるのか、考えることも大事だと思っています。
八葉様
私も同様です。女性側も会社側も、「女性だから」という意識を取り払い、やりがいを持って楽しく働けるような環境づくりに貢献したいですね。
性別に関係なく、多様な方が想いを持ってメンバーを率いることが一番です。よりよい未来が描けるよう、私たちも力を尽くしていきます。
―未来に向けて一人ひとりがキャリア・働き方について考える機会を持てるように取り組まれていることが強く感じられました。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。