エンパワメントカレッジをターニングポイントに
株式会社イトーキ様
従業員に自律的なキャリア形成が求められる中で、会社はどのような機会を提供すべきなのか?
昨年11月、チェンジウェーブが企画・運営したエンパワメント・カレッジに参加してくださった、株式会社イトーキの一階様にお話を伺いました。
聞き手は株式会社チェンジウェーブ・ 執行役員の鈴木富貴です。
一階裕美子氏
株式会社イトーキ 人事部人事企画室 室長
営業部門を経て2021年1月より現職。
7月からはダイバーシティ推進も担当し、
人事評価も含めた幅広い人事関連業務に従事。
変化する局面では自律的なキャリアへの意識づくりが必要
チェンジウェーブ・鈴木:以下、鈴木
昨年11月にはエンパワメント・カレッジ(エンカレ)に貴社から10名の方がご参加くださり、ありがとうございました。まずは参加に至った背景について伺わせてください。
一階様:以下、一階
「自律的なキャリア形成」について考えるきっかけにしてほしい、というのが最も強く願っていたことです。規模の大きな企業で働いていると、会社、または人事部がキャリアを決めてくれるという意識を持ちがちですが、そんなことはないですよね。コロナ禍の影響もあり、会社も個人もさらに変わっていかなくてはならない局面で、自律的なキャリアへの意識づくりは必須だと考えています。当社のミッションステートメントは、“明日の「働く」を、デザインする。”です。社員が自分自身の明日をデザインできなければ、お客様に真の意味での、明日の「働く」をご提案することはできない、と考えています。
一方で、自分自身を振り返ってみると、大きく成長を実感できたのは「新しい経験をしたとき(機会を提供されたとき)」だったので、社員に対しての機会提供は積極的に行いたいとも思っていました。
女性のキャリア構築については、オリジナルで研修を行うなど、当社内でも様々な取り組みを行ってきましたが、社外に出て刺激を受けられるようなものがないかと情報収集をしていたところ、エンカレをご紹介いただいたという次第です。
自律的なキャリア意識醸成のプログラムであることが課題意識と合致していましたし、異業種他社との交流で新しい経験をし、視野も広げられるのではないか、と考えて参加を決めました。
鈴木:
ありがとうございます。キャリア形成に男女差はないというものの、ライフイベントの影響を受けやすい女性は、無意識に受け身になってしまったり、過度にブレーキを踏んでしまったりすることがあるように感じます。
他者の視点に触れて「自分の当たり前」を崩すこと、「自分で決める」という意識を持っていただくことはエンカレでとても大切にしています。
3か月以上経っても効果は続く ターニングポイントの意義
鈴木
一階様はエンカレの当日も陪席してくださっていました。ぜひ、感想をお聞かせください。
一階:
zoomのブレイクアウトルーム(小グループに分かれてのディスカッション)を見学しましたが、話されている内容が多岐に渡っていて驚きました。参加者は想像以上に刺激を受けたのではないでしょうか。コロナ禍で偶然の出会いも減っていますし、自分1人ではなかなか会うことのできない方々に沢山の刺激をいただくことができたと思います。これまで知る機会のなかった多様なキャリアに触れ、様々な持ち帰りができたと感じました。
鈴木:
参加者の方々はいかがでしょうか。
一階:
エンカレの2週間後に参加者にフィードバックを求めたところ、「ロールモデルセッションがとても参考になった」「(エンカレ参加が)最近で一番良かった出来事」との声がありました。女性が少ない部署からの参加者もいましたので、良い意味で「特別ではない」女性がこんなにも活躍しているという事実にポジティブな刺激を受けた様子です。
また、3か月後のアンケートでは、以下のような回答がありました。
Q どのような方にエンカレを薦めたいか?
- 自分の夢を持って働き続けたい、小さな子どもがいる女性社員
- これからのキャリアパスについて悩んでいる方
- 社内外で働く人が、それぞれどのような思考やチャレンジを重ねて今に至り、何を大事にしているかを聞きたい方
- 人生に迷える若い方。男女問わず
- 基本的に全員におススメできる(自身のキャリアについて具体的に考えている人は少ない気がするので、管理職を目指す・目指さないは関係なく、まずはきちんと考えてみるきっかけになれば、以後の行動が変わると思う)
- ある程度年次を重ねた「中堅社員」といわれる方や、中途入社で同期がおらず自分のポジションに迷っている方
Q エンカレ参加の感想、
またはご自身にどんな影響があったかを聞かせてください。
- 色々な方の人生観や仕事観に触れられたことで、視野を広げることができた。
- 普段なかなかない機会で、貴重な時間だった。
- ロールモデルの皆さんの前向きな言葉の選び方が印象的で、一緒に仕事をしたいと思えるような方々でした。私もそう思ってもらえるよう、仕事をする際に参考にしたい。
- 自分自身のこれまでの仕事やこれからの仕事について、振り返ったり考えたりする時間と回数が増えた。
- キャリアについてきちんと考え、今とこれからに何が必要なのかを見極めていきたいと思った。
- これまでモヤモヤしていたものが明確になり、自分自身の今後の方向性を決めることが出来たので、仕事へのモチベーションが上がった。
- 仕事とプライベートの両立も大事にすると決めたので、バランスよく心の余裕を持つよう心掛けるようになった。
管理職になる前は「自分がふさわしいのか」悩んだけれど
鈴木:
とても嬉しいお声の数々です!今回、一階様にはロールモデルとしてもご登壇いただきましたが、ご自身のキャリアについてお話しされた感想はいかがですか?
一階:
今回ロールモデルとして話す機会をいただけて、自分自身のキャリアの棚卸しと振り返りができました。お役に立てるだろうかと思うこともありましたが、自分自身の経験もふまえて正直なところをお伝えしました。
私自身も、管理職になる前は「自分が管理職にふさわしいのか」と悩んでいましたが、今、昇格に対してネガティブな印象をもっている方には「まずはやってみて、ダメだったらやめる」くらいの心構えで良いと話しています。
鈴木:
手前味噌ですが、等身大の、というか、飾らない経験談を聞けるのがエンカレ・ロールモデルラウンドテーブルの良いところだと思っています。
一階様は、今、管理職という立場で、予想していた通りのお仕事ですか?
一階:
管理職になって、それまで以上に自分の意思決定で仕事をすることができますから、とてもやりがいがあります。予算の執行も含めて自分の責任の範囲が広がっていますので、「会社のため」というのはもちろんですが「自分のやりたいこと」もできているように思います。周囲からは大変、と思われているかもしれませんが、実は自分の裁量で決められることが多いので、より深い意味で楽しく働けるようになりました。
人生のターニングポイントは
「瞬間」で「出来事」。時間の長さは関係ない
鈴木:
エンカレの最後には、参加者から「昇格試験受けます」「管理職に挑戦したい」という声もあがっていました。皆様の前向きな一歩につながったのなら、本当に嬉しいです。
他方で、こうした1日だけのプログラムの学びは、時間が経つにつれて忘れてしまうのではというご意見も頂くのですが、その点についてはいかがでしょうか。
一階:
エンカレはハードスキルを学ぶ場ではなく、自分一人でやろうとしたら何年もかかるような出会いや気づきを、ぎゅっと凝縮して<体感>させてくれる場です。ですから、たとえ短い時間であったとしても、人生に対して大きな影響を与えられるのだと思います。
人生のターニングポイントは、時間の長さというよりは、その「瞬間」や「出来事」。自分の物の見方が180度変わるようなことも起こり得ますから、時間が経つにつれて薄まるという風には捉えていません。
当社の参加者が、エンカレ参加後に働き方や仕事に対する考え方に変化が起こり、数か月経った今でもライフも含めたキャリアに対して前向きな思いを持てているのは、そうした「場」に巡り合えたからではないでしょうか。
鈴木:
ありがとうございます!これからも良き場をご提供できるよう、頑張ります。
最後に、貴社の今後の展望をお聞かせください。
一階:
当社の女性活躍推進も、新社長(湊宏司氏)の就任により、さらに進展します。単なる女性活躍ではなく、広義の意味で女性のリーダーシップにフォーカスをあてたコミュニティを立ち上げ、まさにこれから具体的な活動を開始する予定です。女性社員と言っても一括りにはできませんし、価値観は様々だと思いますが、広く多様な人たちを巻き込んで展開したいと考えています。
鈴木:
本当に楽しみですね!まさに変革の中で舵取りをされている一階様にお話を伺いました。誠にありがとうございました。