女性登用のハードルを越える②
実現へのロードマップ 3つの相違を改善する

2023.10.10

2023.10.10 ChangeWAVE

女性登用のハードルを越える②

実現へのロードマップ 3つの相違を改善する

■女性登用のハードルを越える 記事一覧企業のD,E&I実現へのステップ
② 実現へのロードマップ 3つの相違を改善する ※本記事はこちら
③ パイプライン構築に必要なマインドセットとジョブアサインメント

2021年のコーポレートガバナンス・コードの改訂、2023年6月の政府・女性版骨太の方針などを見ても「多様性の推進、中でも女性登用を一歩目とする意思決定層の多様化は企業価値向上に直結する」ことは共通認識となってきました。
人的資本経営の情報開示として「女性管理職比率3割」や「男女賃金格差解消」といった明確な数値目標を掲げられた企業もあり、達成に向けた様々な施策を講じられています。

しかしながら、女性登用ひとつとっても複合的に絡む課題があり、「なかなか成果が見えてこない」と忸怩たる思いを持たれる方がいらっしゃることも事実です。

今回は、「自社ならでは」の多様性推進・女性登用に取り組み、成果を出すために、注意すべき3つの“相違”について掘り下げていきます。

実現を妨げる3つの課題

1)対象による必要性理解とアプローチの「相違」
2)業界・企業風土によって抱える悩み・状況・課題の「相違」
3)女性活躍(D,E&I)の進展ステージによる「相違」

 

1)対象による必要性理解とアプローチの相違

 「階層ごと」に異なる理解と抵抗感
伝える重点・言葉を選び、ハレーションを押さえる

女性登用図①

「必要性は理解している」と言っても、D,E&Iの意義、女性登用への理解は経営層・管理職・一般社員といった階層によって異なることがあります。

例えば、経営層。前回、経営陣の最大の関心は株主にあるとお伝えしました。
ESG投資を当たり前に考えている海外の投資家だけでなく、今や国内の機関投資家たちは、女性取締役のいない、または10%に満たない企業を投資先から除外することが増えています。
また、株主総会などにおいても、株主は意思決定層の多様性をチェックしています。経営層に女性が少ないことはマイナスに働き、女性が多ければ「しっかり取り組んでいる有望な会社だ」とプラスに働きます。2023年の株主総会シーズンには「キヤノンショック」といった言葉も生まれ、経営課題であるという認識は強まっています。

しかし、「逆差別」「数合わせ」といった批判、抵抗感はまだまだあります。
管理職層を見ても、今まで少なかった女性が増えることで旧来の慣習が崩れることを嫌い、「少し面倒」と思う方が現実にはいらっしゃるかもしれません。ただ、管理職として現場の人手不足は痛感しておられ、ご自身にかかる負担も大きいはずです。女性をはじめとした「全員の戦力化」につながるダイバーシティ・マネジメントの必要性は理解していただけるのではないでしょうか。改めて「なぜ必要か」「何を変えるのか」「どう育成するのか」を具体的に話し、それぞれの視点から「女性登用」は組織、自分にとっても大事であり、
メリットがある、と考えていただけるよう説明する必要があります。

そして、現場の社員たちにしてみると、女性でも男性でも活躍できる制度や土壌ができていくのは歓迎のはずです。評価・登用についての説明はもちろんですが、ジェンダーを越えた支援を同時に打ち出し、「働きがい」につながっていく方法も有効です。

もちろん、社員のエンゲージメントや多様性は、そのまま会社のイメージにつながり、ステークホルダーの関心だけでなく、優秀な人材を集めることに直結します。人事部門・ダイバーシティ担当の方々が熱量高く取り組まれていることを、それぞれの階層の人たちに伝え、ハレーションを押さえていくには、異なるアプローチが必要だと考えます。

また、組織の課題を可視化し、それを対話の俎上にのせていくには「素材」が必要です。お互いの責任を追及するのでなく、同じものを見て対話をするために、チェンジウェーブがご提案するものの一つとして「アンコンシャス・バイアス」を可視化するテストがあります。
一人ひとりがデータを呼び水にし、「自分にもバイアスがある」「職場にこんなバイアスがある」と気づくことで、理解と対話が始まります。

2)業界・企業風土によって抱える悩み・状況・課題の相違

“我が社ならでは”の悩みを解く

図②業界による課題

「改革」と言っても、企業によって適した進め方は違います。その会社ならではの文化や歴史、大事にする部分を残しつつ、変えるべき部分は変える……その判断が求められます。

例えば、建設業や工場勤務があるメーカーなどでは「危険が伴うイメージがあり、女性がそもそも少ない」「長らく男性の仕事とされていて、女性は管理職になりにくい」というような声があります。
判断を悩むところではありますが、そもそも同じ業務を課す必要があるのか、バイアスはないかを考え、これまで慣習的に付与していた役割を変えていくことがD,E&I、特にエクイティの実現につながっていきます。
別の業界や他社で行なっているアプローチを丸ごと取り入れたからと言って、うまくいくわけではありません。

3)女性活躍(D,E&I)の進展ステージによる相違

自社の現在地を知り、ステージによってアプローチを変える

図③フェーズ

女性管理職ゼロの状態から1人目の管理職を生み出すのと、すでに女性管理職が15%いる状態から1人目の役員を生み出すのでは、課題もアプローチも異なります。
今、自社はどんな段階にあるでしょうか?

 

こちらの図は、チェンジウェーブが伴走させていただいたA社の事例です。
自社の本質課題を特定し、経営戦略・組織風土にあわせたアプローチを選定、複数年で取り組まれる場合もあれば、一部のみ実施される場合もあります。
どこから始めるのが最も実現に近づくのか、一緒に考えさせていただければと思います。

女性登用のハードルを越える、
次回は「ジョブアサインメントとマインドセット」についてお伝えします。

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