「変革屋集団」であるチェンジウェーブには、多様なプロフェッショナルが集まっています。
コンサルタント、経営者、プロフェッショナルコーチ、WEBマーケター、SE、研究者など、それぞれの知見を融合して新たな価値の創造、変革に最適な解を生み出すためです。
今回はクリエイターとして参画している北口就生利が、デザインを通した変革へのアプローチについてお話しさせていただきます。
■感覚値まで把握して具現化したい
キャリアのスタートは、音楽CDのジャケットデザインでした。
デザインする際、例えばCDジャケットならアーティスト、企業広告なら社長のビジョンなど、それらをいかに形作るか、どこにフォーカスするかを考えて進めていきますが、突き詰めていくと、もっとクライアントの感覚値のところまで把握したい、それを具現化したい、という欲求につながってくるんです。
それで僕の場合は、企業のブランディングに関わるようになりました。その後、知人から佐々木を紹介され、ロゴや会社案内の制作を依頼されたのがチェンジウェーブとの出会いです。今はメンバーとして、イメージムービーのディレクションなども含め、クリエイターチームを統括しています。
―最初に依頼されたデザインで、印象に残っていることはありますか?
まずはガイドラインを整えていくのが大変でした。
デザイナーには「○○という情報をもとに○○のデザインをしてください」と依頼を受ける場合もありますが、自分はもう少し手前の、「どうやって伝えていこうか」というところから入らせてもらうことが多い。つまり、まだみんなの頭の中でイメージが固まっていない段階から作るわけです。特に佐々木は感覚レベルで投げてくるので、そこをいかに汲んで提案できるかが、すごく難しい。しかも、受け取る側の目線でもデザインを見る必要があります。だから、考え抜きます。そうでないと「なんでこれこうなっているの?」と佐々木から聞かれる時に答えられませんから。
―例えば、どんな場面でしょうか?
ウェブサイトを提案した時が一番苦しかったですね。「社会変える」「プロが集まっている」というイメージで作ったら、ただ「強そう」な感じになってしまったんです。熱量があって、未来に向かってポジティブ、というと、リクルーティングサイトみたいになっちゃって、なんか足りないな……と。
「社会変える」と言いつつ、チェンジウェーブが向き合っているのは1人ひとりの変化、個人です。1人ひとりから成る企業や社会に真剣に向かい合おうとするさまは、大企業のハイテクなイメージとはちょっと違う、と思ったりもしました。
加えて、すごく本質的で、人間っぽい、ある意味「アナログ感」のようなものを足していく必要性も感じていました。圧倒的にシャープで洗練されたスタイルを描きます、というスタイルでもないので。
こんな要素もあんな要素もあってひとつになる、という状態をどう表現するのか試行錯誤の連続で、すごく苦しんだ覚えがあります。
でも、考え抜いた結果、それぞれのプロジェクトのミッションとメンバーがひとつになった上に、僕がデザイナーとしての立場で形、文字、色などを選んでいく時はハズレがないんだな、という感じを徐々につかめてきたんです。
■デザイナーが変革に携わる意味
―そこから、メンバーとして参画に至った理由は何ですか?
チェンジウェーブは「動いている」というより「走っている」会社です。こういう変化が速い会社は、なるべくデザイナーを中に置いた方がいい、と僕は思っています。変化に応じて、その都度クイックに「自分たちが何なのか」という景色をビジュアルとして共有する必要があると思うからです。
それに、ウェブサイトの場合のように、ただエネルギッシュで「世の中を変えます」と言っているだけではない、そういう側面をいかに形にするか、正確に認識してもらえるか、という部分にデザインが寄与できることがあるのではないかと考えました。デザインを使うアプローチを考えると、チェンジウェーブは圧倒的に面白い会社だと思いましたし、自分もデザインで変革に挑みたくなったんです。
―「デザインで変革に挑む」とは、どういうことでしょうか?
佐々木は「こういう世界を作ろうと思っているんだけど、どうしたらいい?」という問い方をします。ただロゴ作って、広告作って、という依頼ではない。デザインの本質を見極めて、それをビジネスに利用したらもっとこうなるんじゃないか、というところで起用してくれる。だから僕は、どう伝えたらみんなに広がるか、「伝えるプロ」としての視点から返します。
■見えないものを伝える価値
変革って、誰も見たことのない世界の先にある状態を示しているわけですよね。
本来は、積み重ねていった先でこういう風景にたどり着いたね、これが変革だったんだね、という話になりますが、チェンジウェーブは逆なんです。「こういう風景作りに行きます、だから集まってください」ということを常にやらなければならない。そのためには、「私たちは、こんな世界を作りたいです」というものを見せないと、他者は共感できないと思うんです。それをデザインで見せられるのはすごく面白いのではないでしょうか。
実は名詞的な表現って、簡単なんです。「風船が2個あります」って言われたら、風船を2個描けばいい。でも、「1つはどんどん成長したがっている風船、もうひとつはフワフワ自由にいつも能天気な風船」だったら、どう描きますか?
そこはデザインの得意分野です。形容詞的というか、温度のようにその場にいなければ伝わらないことや、そういうことをシェアしていくために形にすることがデザインの技能なんです。
メンバーがそれぞれの得意分野を生かすのと同様に、チェンジウェーブでは変革のアプローチにおいても、口に出すべき言葉、行動で示すこと、キャッチコピー、ロゴなど、それぞれの特性を使い分けています。今回は文章でどれだけ綴っても表せないから北口に頼んでおこう、みたいなところもありますが(笑)。
新世代エイジョカレッジやMICHIKARAのムービーは、そんな想いで作っています。
■デザインは変革のツールとして機能する
例えば何か目指すところがあったとして、言葉にすると、アウトプットした瞬間に微妙に言いきれていなかったり、伝わっていなかったりすることがありますよね。「こんな感じなんだけど、この言葉だとちょっと違うな」という。それを、「こんな感じになるのかな、もうちょっとこうかな」とデザインして表に出すことで、「ああ、こういうこと考えていたのか」と周りが理解できるようになるんです。ビジュアライズする、デザインするという行為が生きてくるわけです。
メーカーなどではアイデアの議事録的なものから実際に形ができ、製品がデビューすると、「ああそうだ、これこれ」「こんなの欲しかった」というユーザーの想いと合致した、思わず手に取りたくなるようなものが生まれたということが起こります。
想いをカタチにして、使いこなしてもらう。そしてそれがまた、次のチェンジを生むツールになる。その媒介としてデザインがあると考えると、まだプロジェクトが固まっていない段階からデザイナーがいる意味は大きいです。しかも、「固まった、さあ、みんなにお披露目だ」というときもデザインするわけですし、そういうプロセスを通して自分は変革の手伝いができるかなと思っています。
―今後、どんな変革をしていきたいと考えていますか?
デザインする時には、「世の中ってこんな風ならいいのにな」「こういう世界が幸せなんじゃないか」というような自分自身の想いも大事にしています。
人にとってピンとくる答えや、生きるヒントなどを、広告などを利用して発信していきたいという想いもあります。すごく本質的な、人間の幸せみたいなものを体感できる場所を作りたい、とか。そのための環境や、それを見出すことが僕のミッションだと思っているので、今後それを多方面でやっていきたいと考えています。